自筆証書遺言保管制度の保管手続きに行ってきました

自筆証書遺言保管制度自体は以下のサイトで案内させていますのでご覧ください。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

今回は実際に私が自分の遺言書を保管制度使って預けてきた体験を書きたいと思います。

法務局の予約ページから保管申請の予約をし、さいたま地方法務局へ向かいました。

埼玉県の場合、
①遺言者の住所地
②遺言者の本籍地
③遺言者が所有する不動産の所在地

上記のいずれかが埼玉県であれば、県内どの遺言書保管所であっても保管が可能とのことです。
以下が埼玉県内の遺言書保管所の一覧です。
https://houmukyoku.moj.go.jp/saitama/content/001393115.pdf

私はさいたま地方法務局本局に行きました。予約した時間に行くと、窓口に通されて、本人確認、保管申請書、遺言書のチェックが行われます。
以下は私が指摘された事項とこうしたら効率的かなと思った事項です。

・保管申請書の遺言者の氏名□内には濁点も含めて書いてよい

  例)ハ ゛  ではなく、バ でよい

・財産目録としてキャッシュカードのコピーして添付してよいが、口座情報が読み取れる必要がある。通帳なしの口座も多いので、銀行名、口座番号等の情報を記入した財産目録を用意したほうが確実であると思いました。(記入間違えに注意する)
私は以下の例のようにワードで作った財産目録を持参しました。

記入例)    〇〇銀行 〇〇支店

        口座名義 馬場 啓(ババ アキラ)

        (店番号〇〇 口座番号〇〇)

・相続財産に不動産がある場合、財産目録として登記事項証明書(登記簿謄本)をコピーして添付してもいいが、指定の余白を設ける必要があるため、縮小コピーをするとよい。

  • 遺言書の形式上のチェックが入る

署名・押印がされているか、各ページに通し番号(1/4など)が記載されているか、遺言書・財産目録に指定の余白が設けられているか・住所は住民票通りに記載されているか、作成した日にちが記載されているか等です。
なお、事前に遺言書をコピーしておくことをおすすめします。法務局では控えを取ってくれませんので、後日遺言書の内容を見返すことが困難になります。

・一通り申請書と遺言書のチェックが終わったら、30分~40分待つ時間があります。その間に手数料の3900円分の収入印紙を購入します。購入した収入印紙を手数料納付用紙に貼付します。

・名前が呼び出されるので再び窓口に入り、担当者から遺言書を保管した証明書である「保管証」が交付される。保管証については再発行不可となるので、紛失等がないように管理する。

保管証 ※法務省HPより引用

私の場合、法務局に入って、手続き終了までのトータルの時間は概ね1時間ほどでした。

感想としてメリットは、

・手数料が3900円で利用できる

・死亡時に指定した相続人や遺言執行者に遺言書が保管されている旨の通知がいく(未発見のリスクは減る)

デメリットですが、

遺言内容のチェックは入らない
 遺留分を侵害した内容や不動産に関する書き方など法的に有効かどうかのチェックが入りませんので、
 専門家のチェックが入らないまま将来的に遺言書として機能するかどうかの不安は残ります。

細かい要件がある。
 遺言書、財産目録に上下、左右に指定された余白を設ける必要があるなど、細かい要件があります。

全体を通しての感想

 保管制度を利用することで検認手続きが不要になるなどの従来の自筆証書遺言でデメリットであったことが改善されていると思います。しかし、遺言書の内容のチェックが入らない、作成にあたり細かい要件があるため、保管制度を利用する場合は、遺言書案の作成、保管申請書の作成、保管所への同行をトータルで専門家に依頼するのが確実だと思います。高齢の方がこの制度をご自身1人で活用するのはハードルが高いと感じました。

一方、公正証書遺言は遺言書の内容について専門家と公証人とのダブルチェックが入りますし、遺言者は事前に専門家に口頭で遺言内容を伝えることで、必要書類の準備、遺言書案の作成、公証役場との打ち合わせまで専門家が済ませた上で、遺言者は当日に実印と費用を持って公正証書遺言を受け取りにいくだけです。遺言書作成においてのご自身の負担や無効のものを作成してしまうリスクを考えると公正証書遺言を作成する方がはるかにメリットが大きいと感じます。

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