なぜ財産目録を作るのは大変なのか
①何が相続なのか判断するのが難しい
相続財産にはプラスの財産とマイナスの財産があります。
プラスの財産の代表例は、不動産、預貯金、有価証券、自動車、バイクなどの動産が挙げられます。
マイナスの財産の代表例は、住宅ローンなどの金融機関のローンや友人・知人からの借金が挙げられます。
また、「みなし相続財産」というものがあり、相続財産ではないものの、相続税の計算上相続財産として組み入れる必要があります。受取人の指定されている生命保険が代表的なものです。
このように相続財産となるもの、ならないものの判断が付きにくいのです。
②相続財産の評価方法が様々
預貯金や有価証券は被相続人が亡くなった時点の残高や株価が基準となりますので、わかりやすいのですが、不動産は土地と建物で評価基準が異なり、自動車などの動産については明確な基準はありません。
このようにひとつひとつの財産の種類によって評価方法を調べたり、評価を依頼する手間が発生します。
③相続財産を裏付けする資料集めが多岐に渡る
不動産では固定資産税評価証明書・名寄帳、登記事項証明書、預貯金、有価証券では残高証明書を金融機関ごとに請求して集めなければなりません。
固定資産税評価証明書と名寄帳は市区町村(東京23区は都税事務所)で請求しますが、基本的に平日の日中に出向く必要があります。(※郵送で請求することも可能です)
金融機関によっては平日に一度窓口に足を運ぶ必要が出てきますので、時間の確保が必要です。
相続財産を正確に把握しないと、その後遺産分割協議から協議書の作成に至った段階で、新たな財産が見つかった場合は、再度遺産分割協議、協議書の作成と二度手間になってしまいます。相続人が近隣に住んでいて、集まれる状況であればいいですが、相続人が遠方にお住まいの場合は、郵送でのやり取りで遺産分割協議書が完成するまでにかなりの時間を要してしまいます。
預金解約手続きと同様に財産目録の作成についても、正確且つ円満な相続の実現のため専門家をうまく使うことが重要になってくるでしょう。