胎児の相続

民法上、「人」とは出生をきっかけに始まります(民法3条1項)。また、相続の場合に関しては、特別に胎児を「人」とみなします(民法886条1項)。

これは、相続というものが、血縁に従って親から子になされることが最優先とされており、やがて生まれてくる予定であるにもかかわらず、父親が亡くなったときに出生前だったということだけで胎児への相続を否定することは、不当であると考えられているためです。
そのため、胎児には相続権が認められ、父親の財産を相続することが可能となります。 

・死産の場合

残念ながら死産となってしまった場合、胎児には相続権は発生しません(民法886条2項)。 

・生まれてまもなく亡くなった場合が出生後に何らかの理由で赤ちゃんが死亡してしまった場合

生きていた時間が短時間でも、胎児は「人」となり、当然に相続権を得ます。死産との違いとしては、次のようなケースです。

Aには、妻Bと胎児Cのほかに、前妻との子Dがいた場合です。Aに1000万円のお金があったとします。Cが死産だった場合、Cには相続権はないため、BとDがAの相続人となり、配偶者であるBが遺産の2分の1、前妻との子どもであるDが2分の1、つまり1000万円を2分の1ずつ分けることになります。

一方でCが生まれてから亡くなった場合には、CもAの相続人となるため、配偶者であるBが遺産の2分の1である500万円、子どもであるCとDが2分の1である500万円をさらに半分の1/4ずつで分け合って、それぞれ250万円ずつを相続する形となり、Cが亡くなったことにより、Cの母親であるBがCの相続分250万円をCから相続する結果となります。(法定相続の場合)

以上のように胎児にも相続権は認められており、無事に生まれてくれば、遺産を相続できます。また、胎児が出産前・出産後に亡くなったかどうかで、相続人が変わってくるため注意しましょう。

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