遺言と納骨
ご自身の遺骨の埋蔵場所や埋蔵方法について遺言書で記載した場合、どのような効果があるのでしょうか。
結論から申しますと、遺骨の埋蔵場所や埋蔵方法の指定は法的拘束力が生じる事項ではないため、法的な効果は生じません。
1.お墓の承継
お墓は祭祀財産に含まれるため、遺言書の中で祭祀主宰者を指定することによって、お墓を承継させることができます。
もちろん生前に指定することも可能です。
2.葬儀の方法、埋葬・埋蔵に関する事項
これらの事項は法定の遺言事項ではなく、法的拘束力のない「付言事項」に当たります。
したがって、これらの事項について遺言書に記載しても法的拘束力は生じませんので、
残された相続人に対して自らの希望を伝えるに止まります。
では、遺骨の埋蔵場所や埋蔵方法について法的拘束力を持たせる方法はないのでしょうか。
負担付遺贈(民法1002条)という方法を用いれば、受遺者(受け取る人)に対して法的拘束力を持たせることが可能になります。
負担付遺贈とは、財産を譲る人に対して対価とはならない程度の義務を課す遺贈(相続)のことをいいます。
具体的には、「改葬した〇〇墓地に埋葬してくれるなら、金100万円を遺贈する」といった内容です。
また、寺院や身近な親族等との間で、自らの葬儀や埋葬・埋蔵等を委任事務とする死後事務委任契約を結んでおくという方法もあります。