外国人を雇用する日本企業が気をつけるべきポイント第1回:日本企業が外国人雇用を始める前に知っておくべき基礎知識


近年、日本では労働力不足の解消や国際化の推進を目的として、外国人労働者を積極的に採用する企業が増えています。しかし、外国人を雇用する際には、法的な手続きや適切な管理が必要です。この記事では、外国人を雇用する上で知っておくべき基礎知識を解説します。


1. ビザと就労資格の種類

在留資格とは?

外国人が日本で合法的に働くためには「在留資格(ビザ)」が必要です。在留資格によって就労可能な職種や業務範囲が異なるため、採用前に確認が不可欠です。日本の在留資格は約30種類あり、主に以下のような就労系在留資格があります:

  • 技術・人文知識・国際業務:ITエンジニアや翻訳、通訳、貿易業務などが含まれます。
  • 技能:料理人、建設作業員、造船工など、特定の技能を有する職業向けです。
  • 特定技能:農業や建設、介護などの分野で働くための資格。特定技能1号と2号があり、業務内容や在留期間が異なります。
  • 高度専門職:高い専門性を持つ職種向けの資格で、取得により永住権への早期アクセスも可能です。

ビザ取得手続き

企業が外国人を採用する場合、通常、企業がビザ取得の支援を行います。採用前に雇用予定者の在留資格の確認を行い、法務省の入国管理局へ申請します。ビザの取得には数週間から数ヶ月かかるため、採用計画には余裕を持たせることが大切です。


2. 在留資格に基づく雇用ルール

資格に応じた業務内容の確認

在留資格によって働ける内容や範囲が異なるため、採用後の業務が資格に合致しているかを必ず確認します。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の資格を持つ者は、製造ラインのオペレーションや単純労働に従事することはできません。このように、適切な業務範囲の理解が重要です。

在留カードの確認と管理

雇用主は従業員の在留カードを確認し、在留期間や資格を把握しておく義務があります。カードには在留期限が記載されており、企業はその期限前に更新手続きを支援する必要があります。また、在留カードのコピーを保管することが推奨されています。


3. 労働契約に関する法規制

労働条件通知書の交付

外国人労働者も日本人と同様に労働基準法が適用されます。労働契約を結ぶ際には、雇用条件を明記した「労働条件通知書」を書面で交付することが必要です。通知書には以下の内容が含まれているべきです:

  • 労働時間、給与、休暇などの基本情報
  • 勤務場所や職務内容
  • 契約期間および更新の有無

労働時間と休暇

日本の労働基準法は外国人労働者にも適用されるため、法定労働時間や休憩時間、休日を順守することが必要です。また、外国人労働者が理解できる言語での説明も重要です。特に長時間労働や休日出勤の管理が適切でないと、外国人労働者との間でトラブルに発展する可能性があるため注意しましょう。

健康保険や年金への加入義務

外国人従業員も日本人と同様に社会保険(健康保険、厚生年金など)への加入が義務付けられています。企業側は、外国人従業員が社会保険や年金制度の内容を理解しているか確認し、説明する必要があります。また、外国人には日本の年金制度がわかりにくい場合があるため、手続きサポートを行うと安心されるでしょう。


4. 不法就労防止と企業の責任

不法就労のリスクとペナルティ

外国人を適切に雇用しないと、企業も法的責任を問われることがあります。例えば、在留資格の範囲外の業務に従事させたり、在留期間が切れている場合に働かせたりすることは違法就労と見なされます。この場合、企業には罰金や業務停止などの罰則が科される可能性があるため、慎重な管理が求められます。

不法就労防止策

外国人従業員の在留カードや就労資格を確認し、必要に応じて定期的なチェックを行うことで、違法就労を防ぐことができます。また、法務省から最新の在留資格情報や規則を確認し、適切に対策を取るようにしましょう。


まとめ

外国人雇用は、日本の企業にとって多様性の向上や人材確保に大きなメリットをもたらす可能性がありますが、その一方で法的な手続きや雇用管理において慎重な対応が必要です。適切な在留資格の確認や、労働基準法の順守などを行うことで、外国人従業員が安心して働ける環境を提供し、企業にとっても信頼性の高い労働力を確保できるでしょう。


次回は、外国人雇用における文化の違いと職場環境の整備について詳しく解説します。

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